お知らせ
2022年08月30日
「手打ち、手造り、……風」 ってなに!? 9月の献立表です
看板や幟や品書きにわざわざ「手打ち」を太文字で強調している蕎麦屋(専門店)があります。一般的な食堂やレストランのように、うどんも親子丼もカレーライスもトンカツもあり、品揃えの一つとして蕎麦を提供しているのであれば別ですが、蕎麦屋と名乗り、蕎麦一本で勝負するからには手打ちが当たり前、わざわざ看板や品書きで主張することではないと思います。
蕎麦打ちの模様が外から見られるように、店先にガラス張りの部屋を設けているところもどうかな、と時々思います。開店前に一日分をまとめて作っているのか、稼働しているのをあんまり見たことがありません。稼働していれば稼働していたで、「今こねてますよ、打っていますよ」と見せつけているようで、「それって粋じゃない、格好良くない」と感じるのはへそ曲がりの言い分ですね。
手造りソーセージ、手造りハムなど…最近あちこちで見かける「手造り」という言葉の付いた製品も疑問です。例えばソーセージ。肉を刻みすりつぶす工程、スパイスを調合し混ぜ込む工程、羊腸に詰める工程、スモークして仕上げる工程まで全部手作業で進めているのでしょうか。あれだけ宣伝して、どのスーパーにも陳列され、ギフトカタログにも掲載されているからには、余程大量に生産しているはず。「手造り」を標榜するのであれば、どこからどこまで手造りなのか、どれだけ膨大な人手と人件費をかけて手造りに徹しているのか聞いてみたくなります。
また、蕎麦やうどんの生麵の袋に書いてある「手打ち風」というのもよく分かりません。様式や作り方、味を似せてベトナム風とかインド風とか称す「風」には納得します。しかし、「手打ち風」の生麺とはいったいどんな麺でしょうか。創意工夫されているとしても、「風」という装飾を加えることによって、本物の手打ち麺らしく錯覚させようという狡猾な意図が垣間見えて、ちょっと気が引けます。
※全国製麺共同組合連合会の表示に関する公正競争規約で、「手打ち(粉を練る工程のみ機械でも可)」と「手打ち風」の定義が決められています。が、あれだけスーパーに並んでいる「手打ち風」生麺が、延べ棒で延ばしたり、粗切りして熟成させたり、一定の長さに切り揃えたりまで手作業でやっているのかと思うと、気が遠くなります。
うだる暑さと重い湿気に打ちひしがれて、ついつい日頃納得しないことを挙げてしまいました。
いきなり飛躍しますが、
気をつけなければならないのはコロナだけではありません。
惑わされることなく、誤魔化すことなく、しっかりと矜持を保ち、自負をもって歩みを進めてもらえればと願います。