『久敬社』は本年2024年で創設146年目を迎えます。明治11年(1878年)に旧唐津藩主家である小笠原長行(ながみち)公の邸宅で、青雲の志を持つ唐津ン者たちが集まり、研修の場として互いに研学修養を積み「辰野金吾」「曽禰達蔵」「天野為之」などの名立たる先人がこの久敬社塾から巣立ち、長い歴史と伝統を育み現在に至ることは私たちの誇りであり、皆様方のご支援に心から感謝申し上げます。
小笠原長行公の屋敷の一室から始まった「久敬社塾」は、入塾者の増加に伴い明治20年に小石川区表町の伝通院に新たな塾舎が建てられ、長行公の長男・小笠原長生(ながなり)公が久敬社の社長に就任され、明治43年には財団法人として組織が整いました。
しかし、昭和10年に東京市の都市計画路線新設の為、久敬社塾はやむなく閉鎖されましたが、小笠原家の創設による尊い偉業を断絶させてはならないとの久敬社塾再興への願いは強く、昭和16年に新宿区西大久保の地に再興され、戦時中や戦後の混乱期も関係者の努力で乗り越えてきました。
やがて塾舎の老朽化が激しくなり、建設省の東京都市計画に関する告示を機に、昭和41年に小田急線「百合ヶ丘駅」近くの千代が丘の地に移転して鉄筋3階建ての塾舎が新築されました。その後、昭和53年(1978年)11月3日には、久敬社塾創立100周年を迎えることができました。
そうして時代は昭和から平成、そして令和へと移り、平成22年(2010年)の公益財団法人化を機に他県出身者にも広く門戸を開放し、令和3年(2021)4月には女子学生の入塾をスタートさせ現在に至っています。
私は昭和43年卒塾生として、新宿区西大久保の久敬社塾から三鷹市の仮住まいを経て現在の千代ヶ丘の塾舎へと、三カ所にわたる久敬社塾の様々な時期を経験させてもらい、幸運な学生時代を過ごせたことに感謝しています。
女子学生の受け入れと同時に、今後の久敬社のあるべき姿に照らし合わせながら、募集の在り方に関する協議を重ねてきた結果、新塾舎B棟の増築を決議し、既に10月上旬より増築工事ははじまっており、来春3月末には塾舎B棟が完成し学生の受け入れがはじまることになっています。
公益財団法人久敬社の運営を担う立場として、次世代を担う若者達の育成と、これまでも大切にしてきた地域社会への貢献に、今後とも役員一同誠心誠意努力してまいる所存です。
結びとなりますが、146年にわたる久敬社塾の歴史と伝統を守り継続して頂いた、諸先輩及び唐津出身のすべての皆様方に感謝申し上げるとともに、4年後2028年に久敬社創設150周年を一緒に迎え、更に200周年を目指してこれから育っていく若者に託したいと存じますので、今後とも幾久しいご支援を賜りますようお願い申し上げます。
公益財団法人久敬社 理事長
内山 守太