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2022年05月31日

沿線讃歌“唐津小唄“で輪になって踊りましょ!6月の献立表です

沿線讃歌“唐津小唄“で輪になって踊りましょ!6月の献立表です

白色、桃色、早緑色、青紫色、赤紫色……。花曼荼羅のようにアジサイの花が咲き誇っています。夜は夜で、蛍の舞いが各地でピークを迎えているようです。新型コロナ禍もようやく収束傾向にあり、人間様もまた、ふるさとの実家に顔を出したり小旅行に出かけたり。対面講義の割合が8割くらいになって学生の動きも活発になってきました。

さて、唐津へ帰郷したひとりから、「みきや(市内呉服町の楽器・CD専門店)で“唐津小唄”のCDを見つけた!」と連絡がありました。話を聞くと、“唐津小唄を保存する会”なる元気なおじさんたちが一念発起して、5年前に全42章を収録した完全復刻版CDの制作・発売にこぎつけていたようです。たぶん、「博物館送りはモッタイナカ。こぎゃんかまま絶やしてしもうたらイカンバイ」と。
この曲は、もともと昭和5年に現在のJR筑肥線<北九州鉄道株式会社が当時経営、本社:唐津町、浜崎~福吉間を皮切りに路線拡大、昭和12年に国有化>の沿線を盛り上げる、いわゆるCMソングとして、ヒットメーカーの北原白秋(作詞)・町田嘉章(作曲)のコンビにより誕生しました。「ちゃっきり ちゃっきり ちゃっきりな」の合いの手で親しまれている“ちゃっきり節”もそうです。詩には唐津市・東松浦郡の名所・名物が織り込まれ、これにつながる福岡県の名所も2章~5章にうたわれています。今回の完全復刻版の歌い手は、唐津市出身の演歌歌手六本木ヒロシさん。9年前に“男道”でメジャーデビュー、“親不孝”、“切札”などのCDを発売し、歌や落語に全国各地を飛び回って活躍されています。久敬社塾OBの故Hさん(昭和52年卒塾)の甥御さんになります。

久敬社では、新型コロナ感染が拡大する前までは“同郷人懇親会(東京からつくんち)”を毎年開催し、演し物として曳山囃子と大抽選会の他に、唐津小唄の踊りも披露していました。松の絵柄入りの浴衣を着た塾生がテーブルの間を縫って舞い踊る姿に、参席された方々はやんややんやの大喜び。一緒に踊り出す方もいました。BGMは、青木光一さん(唐津出身の紅白歌手)が軽やかに歌う昭和33年制作のSP版レコードをカセットテープに録音したものだったと記憶しています。

今年は、地元の有楽自治会のお祭り“千代ヶ丘祭(有楽こども曳山まつり)”との同日開催を模索し、10月23日開催で検討が進められようとしています。懇親を深めるのはもちろん、コロナで沈みがちだった同郷人や千代ヶ丘にお住まいの皆さんに活力を取り戻してもらうためにも、3年ぶりの開催実現と、さらには塾生による唐津小唄の踊り完全復活を切に願うところです。

歌詞の中には、忘れかけていた地名や故事が登場します。玉島川の小鮎や鯛、鯨、松浦漬、松原おこし、けえらん(トップ写真の菓子。朝鮮出兵時に献上を受けた豊臣秀吉が「戦に勝つまで帰らん!」と発した台詞が由来だとか)……なども出てきて、懐かしく感慨深いものがあります。全42章の歌詞は下に記しましたのでお楽しみください。六本木ヒロシさんの歌謡で詞も曲も三味線も楽しみたいという方は、短縮版ですが唐津小唄 短章 (1番、8番、13番、32番、34番、38番) – YouTubeからどうぞ。

それでは、肝心な6月献立表はコチラです。スペシャルメニューは29日(水曜日)、「油淋鶏凉麺・点心・デザート」が予定されています。
よーく味わってお召し上がれ。

【唐津小唄】 作詞:北原白秋 作曲:町田嘉章

1.唐津松浦潟、さざ浪千鳥、ホノトネ。ちりり鳴きます、日の暮は。
唐津、唐船、とんとの昔、今はおいさの山ばやし。チャントナ、チャントナ。

2.博多出てから、小富士も晴れて、ホノトネ。いつか箱島、虹の浜。
※「唐津、唐船、とんとの昔・・・チャントナ、チャントナ」は2章~42章も共通

3.さんさ三本松、小浜の磯よ、ホノトネ。あれは境の包み石。
4.咳の神様、七郎茶屋よ、ホノトネ。刀あげませう、旗そへて。
5.雲の浮岳、日の暮れ頃は、ホノトネ。なにか心がたよたよと。
6.春の白魚、玉島川よ、ホノトネ。花の菜種の開く頃。
7.お諏訪まゐりは、麦刈り前よ、ホノトネ。赤い蹴出しもちらちらと。
8.夏の夜明けに見せたいものは、ホノトネ。虹の松原、虹の浜。
9.虹の松原、雨ふり前は、ホノトネ。虹も立ちましょ、後朝(きぬぎぬ)は。
10.潮は満島、向へは唐津、ホノトネ。かけて松浦、虹の橋。
11.
月の出しほに東を見れば、ホノトネ。秋の細雲、鏡山。
12.
月の松浦川鏡の渡し、ホノトネ。鏡落して誰が泣く。
13.
鏡山から出た月さへも、ホノトネ。なにか泣きたい影がある。
14.
唐津海水浴、だんだら水着、ホノトネ。浜は遠浅、西ひがし。
15.すずしあの子が水着の夢を、ホノトネ。なぜに鴎よ、食べないぞ。
16.唐津、春山、秋なら沖よ、ホノトネ。わしとおまへも風次第。
17.いくら睨もと、太閤さまよ、ホノトネ。わたしゃ小松の蝉ぢゃない。
18.曾呂利新左が築いたる庭に、ホノトネ。そろり出て来た月ぢゃもの。
19.文は近松、近松寺そだち、ホノトネ。諸わけ物識り、松の風。
20.さすが男よ、長兵衛は男、ホノトネ。お国うまれの伊達男。
21.お鼻高島、姫島にくや、ホノトネ。どうせ手管にゃ加唐島。
22.さかな鳥島、また加唐島、ホノトネ。今日もひぼしか、烏帽子島。
23.沖の灯台、烏帽子島よ、ホノトネ。昼は霞にきえぎえと。
24.西の唐津へ入り来る船は、ホノトネ。佐志の燈が恋しかろ。
25.鯛は玄海、鯛網ゃ湊、ホノトネ。生きの勇みのさくら鯛。
26.鯨潮ふく、舟子は勇む、ホノトネ。冬は荒海、神集島。
27.入野入日に、はるばる見れば、ホノトネ。かはい殿御の船が行く。
28.呼子綱引き、よいさよいさ五月、ホノトネ。綱が火を吹きゃ、水かけろ。
29.片手漕ぎ漕ぎ、日傘をさして、ホノトネ。いつまた逢ふやら殿の浦。
30.呼子殿の浦、チラチラあかり、ホノトネ。わたしゃ片島、片たより。
31.島のはなまで見送りませうか、ホノトネ。早も立神、七ツ釜。
32.芥屋の大門の潮鳴りよりも、ホノトネ。七ツ鳴り添ふ、七ツ釜。
33.舟は消えゆく、狭霧はこめる、ホノトネ。あとは時雨の望夫石。
34.恋し夫恋ひ、佐用姫さまよ、ホノトネ。なんのわたしも望夫石。
35.小十かはいや、切木(きりご)の小十、ホノトネ。うちの唐津の冠者焼。
36.釣の竿なら玉島様よ、ホノトネ。利休竹なら広沢寺。
37.萎れまいぞよ、局の蘇鉄、ホノトネ。いつも心は広沢に。
38.干せよ刈麦、名護屋の城の、ホノトネ。跡のほろろん、鳩が啼く。
39.牛は連れ啼く、子供はかへる、ホノトネ。波戸の夕日に波が立つ。
40.寝るがいやなら松原おこし、ホノトネ。焼いてふるって、巻いてみな。
41.肌はけいらん、にほひはおこし、ホノトネ。宵は呼子の松浦漬。
42.金の口したこのよな鮎が、ホノトネ。かはい子鮎がどこにあろ。
(C)ポニーキャニオン、六本木ヒロシ、唐津小唄を保存する会

以上、長くなりました。今月はこれでおしまいです。

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